書籍『ファスト&スロー』で考える:家庭に必要な“思考のバランス”
「気をつけてるのに、なんで伝わらないんだろう?」
家庭での会話や夫婦のやりとりで、そんなふうに感じたことはありませんか。
その原因は、もしかすると脳の思考システムの使い方にあるのかもしれません。
家庭は会社ではありません
会社の目的は利益を上げること。効率を追い求め、無駄を減らすために、論理的なシステム2をフル稼働させます。
けれども、家庭は会社ではありません。
家庭の目的は安心して暮らせること、自然体でいられることです。
つまり家庭は、成果や正論で回す場ではなく、直感や信頼に基づく“システム1”で回したい空間なのです。
システム1とシステム2の違い
- システム1:直感的・自動的に働く思考。反射的に判断でき、脳にとって“楽”で省エネ。
- システム2:意識的・論理的に働く思考。計算や議論のように集中力とエネルギーを大量に消費する。
人間の脳は省エネ設計です。できるだけシステム2を避け、システム1に頼ろうとします。言い換えれば、人は本能的に「考えたくない/疲れることはしたくない」のです。
家庭は“システム1”で回したい空間
家庭は、安心してくつろげる場。だからこそ、「考えなくても自然に通じ合える関係」=システム1中心が心地よいのです。
- 「ありがとう」と言わなくても気持ちが伝わる
- 疲れているときは、そっとしてくれる
- 小さな思いやりを、無意識に交わせる
こうした“阿吽の呼吸”がある家庭は、信頼し合うスポーツチームのように、言葉が少なくても互いを自然にフォローできます。
正論は疲れる
家庭でギクシャクするのは、多くの場合システム2を無理やり使わせているからです。典型が「正論」です。
正論を盾にすると、相手は「どう返せばいい?」「自分が間違っているのか?」と考え込まざるを得ません。
それはまるで、やりたくもない脳トレを強制されているようなもの。安心の場で余計に考えさせられれば、家庭は「疲れる関係」になってしまいます。
家庭に必要なのは、正しさよりも安心できる空気です。
正論を突きつけるより、相手が受け取りやすい言葉を選ぶことが、いちばんの思いやりになります。
思考のバランスをつくる(実践ステップ)
- システム2で話し合い、シンプルなルールを決める。
例:「おはようは必ず言う」「休日は一緒に食事をする」「相手の予定を否定せずにまず復唱する」など。 - 繰り返してシステム1に落とし込む(習慣化)。
考えなくても自然にできる状態を目指す。
ポイント:完璧を目指さず、“考えなくても続けられる”範囲に設計する。
私の実践:意見を手放す
『ファスト&スロー』から学んだのは、自分の意見にもバイアスがあるという事実です。
それ以来、正しさにこだわるよりも「意見を手放す」ことを意識しました。
結果として、家の空気が以前よりも自然で、居心地のよいものになったと感じています。
まとめ
- 会社は利益のためにシステム2で動く。
- 家庭は安心のためにシステム1で動く。
- 正論は疲れる。正しさより、安心できる言葉と態度を。
- システム2で決めたことをシステム1に落とし込めば、自然体の関係が育つ。
家庭のKPIは「安心感」。
『ファスト&スロー』の“思考のバランス”は、家庭をもっと心地よい場に変えるヒントになります。
最後に
私は今回、特に夫婦関係に意識を向けたため、このような記事になりました。
しかし、書籍『ファスト&スロー』は単なる心理学の本ではなく、実生活や仕事に応用できる行動経済学の基本書です。
この知識は、人生をより豊かに考える大きなきっかけになります。
著者のダニエル・カーネマンは心理学者でありながら、2002年にノーベル経済学賞を受賞しました。
心理学が経済学に影響を与えた異例の出来事であり、この本がどれほど多方面に応用可能かを示しています。
ぜひご自身で本書を読み、
ご自身の生活や仕事、そして人生に応用してみてください。
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