自分の中にいる四人の私|若草物語を読んで気づいたこと

『若草物語』を読んで感じたこと

『若草物語』を読んでいて、ふと思いました。

この物語に登場する四姉妹は、ただの登場人物ではないのではないか。

メグ、ジョー、ベス、エイミー。

それぞれ性格も考え方も違います。しっかり者だったり、情熱的だったり、優しかったり、少し見栄っ張りだったりする。

最初は、四人の違いを楽しみながら読んでいました。

でも読み進めているうちに、だんだんこう感じるようになりました。

この四人は、どこか自分の心の中にもいる。

人は、いつも同じ自分で生きているわけではありません。

仕事をしている時の自分。家族といる時の自分。疲れている時の自分。やる気に満ちている時の自分。誰かに優しくしたい時の自分。誰かに認められたい時の自分。

その時々で、心の中に現れる「私」は少しずつ違います。

『若草物語』の四姉妹は、そんな自分の中にいる、いろいろな「私」を見せてくれているように感じました。

メグは「ちゃんとしたい私」

メグは、四姉妹の長女です。

家族の中で、しっかりしようとする存在です。大人っぽく振る舞おうとしたり、周りからどう見られるかを気にしたりします。

私の中にも、このメグのような自分がいます。

ちゃんとしたい。人に迷惑をかけたくない。常識的でありたい。家族や周りの人に対して、責任ある態度を取りたい。

仕事をしている時や、親として振る舞おうとする時には、このメグのような自分が出てきます。

「ちゃんとしなければ」
「大人として、こうあるべきだ」
「家族のために、きちんとしなければ」

そういう気持ちは、とても大切です。

ただ、メグの中には、もう一つの気持ちもあります。

きれいな服を着たい。華やかな世界に憧れる。人からよく見られたい。

これは、少し恥ずかしい気持ちのように見えるかもしれません。

でも、私はこれも人間らしい感情だと思います。

誰だって、少しは良く見られたい。誰だって、自分の生活を少しでも良くしたい。誰だって、周りから認められたい。

メグは、私の中にいる社会の中でちゃんと生きようとする私です。

責任を持ちたい私。常識的でありたい私。でも、少しだけ人から良く見られたい私。

そんな自分が、私の中にも確かにいるのです。

ジョーは「自由に生きたい私」

ジョーは、とても情熱的な人物です。

自分の考えを持ち、型にはまることを嫌い、自分の力で何かを作り出そうとします。

私の中にも、このジョーのような自分がいます。

自由にやりたい。納得できないことには従いたくない。自分の考えを形にしたい。誰かに決められた通りではなく、自分の足で歩きたい。

ブログを書いたり、何かを作ったり、新しいことを考えたりする時に出てくるのは、このジョーのような自分かもしれません。

ジョーは、強いです。でも、ただ強いだけではありません。

怒ったり、ぶつかったり、後悔したりもします。

自由に生きたい気持ちは、時に周りと衝突します。

「なぜ分かってくれないのか」
「こっちの方が正しいのに」
「自分はこうしたいのに」

そういう気持ちが強くなりすぎると、人の気持ちが見えなくなることもあります。

私の中のジョーも、時々暴れます。

自分の考えを通したくなる。正しいと思ったことを強く言いたくなる。相手の事情より、自分の納得を優先したくなる。

でも、そのジョーがいるから、前に進めるのだとも思います。

ジョーは、私の中にいる自由に生きたい私です。

作りたい私。表現したい私。変わりたい私。自分の人生を、自分で動かしたい私。

その情熱は、時に扱いにくいけれど、私にとって大切な力でもあります。

ベスは「優しくありたい私」

ベスは、控えめで、穏やかで、優しい人物です。

前に出るタイプではありません。大きなことを言うわけでもありません。

でも、家族にとってベスの存在はとても大きいものです。

私の中にも、このベスのような自分がいます。

争いたくない。誰かを安心させたい。人を傷つけたくない。静かで穏やかな時間を大切にしたい。

普段はあまり目立たないかもしれません。

仕事で成果を出そうとしている時や、何かを改善しようとしている時には、ベスのような自分は後ろに下がりがちです。

正しさ。効率。改善。成果。

そういうものを考えていると、優しさや穏やかさは、少し弱いもののように感じてしまうことがあります。

でも、本当は違います。

人間関係を支えているのは、正しさだけではありません。

相手を責めないこと。静かに待つこと。安心できる空気を作ること。言葉にしすぎず、そばにいること。

そういう力も、とても大切です。

家庭でも、職場でも、正しいことを言っているのに関係が悪くなることがあります。

その時はもしかすると、自分の中のベスが置き去りになっているのかもしれません。

ベスは、私の中にいる優しくありたい私です。

人を大切にしたい私。穏やかでいたい私。争いよりも、安心を選びたい私。

このベスの声を聞けるかどうかで、人との関係は大きく変わるのだと思います。

エイミーは「認められたい私」

エイミーは、少し見栄っ張りで、自分をよく見せたい気持ちを持っています。

美しさに憧れたり、上品に見られたいと思ったり、人からどう評価されるかを気にしたりします。

一見すると、少しわがままに見えるかもしれません。

でも、私はエイミーを読んでいて、少し胸が痛くなりました。

なぜなら、私の中にもエイミーがいるからです。

認められたい。すごいと思われたい。軽く扱われたくない。自分の価値を分かってほしい。

こういう気持ちは、あまり表に出したくありません。

「評価されたい」
「褒められたい」
「よく見られたい」

そう言うと、少し未熟な人間のように見えてしまうからです。

でも、本当にそうでしょうか。

認められたい気持ちがあるから、人は努力します。恥ずかしい思いをしたくないから、身なりを整えます。自分の価値を分かってほしいから、何かを作ったり、伝えたりします。

エイミー的な自分は、決して悪者ではありません。

ただ、その声を無視していると、別の形で出てきます。

不機嫌になる。相手を責めたくなる。自分を大きく見せたくなる。正論で相手を黙らせたくなる。

本当は、ただ分かってほしかっただけなのかもしれません。

エイミーは、私の中にいる認められたい私です。

評価されたい私。恥をかきたくない私。自分の価値を分かってほしい私。

その気持ちを否定するのではなく、

「そうか、自分は今、認めてほしかったのか」

と気づいてあげることが大切なのだと思います。

どれか一人が本当の自分なのではない

『若草物語』の四姉妹を読んでいると、つい誰か一人に自分を重ねたくなります。

私はジョーに近い。私はメグっぽい。私はベスのようにはなれない。エイミーの気持ちは少し分かる。

そんなふうに考えるのも面白いです。

でも、私は少し違う見方をしました。

四姉妹のうち、誰か一人が自分なのではない。

四人とも、自分の中にいる。

ちゃんとしたいメグ。自由に生きたいジョー。優しくありたいベス。認められたいエイミー。

その全部が、自分の中にいる。

状況によって、前に出てくる人物が変わるだけなのだと思います。

仕事ではメグが出てくる。ものづくりではジョーが出てくる。家族を大切にしたい時にはベスが出てくる。評価されたい時にはエイミーが出てくる。

そして時には、この四人が心の中で言い争います。

ちゃんとしなければ。いや、自由にやりたい。でも、人を傷つけたくない。それでも、自分の価値を分かってほしい。

この心の中の会議こそが、人間らしさなのかもしれません。

自分の中の四人に気づくこと

自分の感情は、ひとつの塊のように見えます。

イライラしている。疲れている。やる気が出ない。不安になる。人に優しくできない。

でも、その感情を少し分解してみると、違うものが見えてきます。

イライラしている時、ジョーが暴れているのかもしれません。「自由にやらせてほしい」と叫んでいるのかもしれません。

疲れている時、メグが頑張りすぎているのかもしれません。「ちゃんとしなきゃ」と背負いすぎているのかもしれません。

人に優しくできない時、ベスが弱っているのかもしれません。穏やかでいたいのに、余裕がなくなっているのかもしれません。

不安や嫉妬が出る時、エイミーが傷ついているのかもしれません。「私の価値を分かってほしい」と言っているのかもしれません。

そう考えると、自分の感情を少し扱いやすくなります。

感情を否定するのではなく、

「今、どの自分が前に出ているのだろう」

と見ることができるからです。

若草物語は、自己理解の物語でもある

『若草物語』は、四姉妹の成長を描いた物語です。

でも、私にはそれだけではなく、自分の中にいる複数の「私」に気づく物語のようにも感じました。

人は、ひとつの性格だけでできているわけではありません。

責任感のある自分もいる。自由を求める自分もいる。優しくありたい自分もいる。認められたい自分もいる。

そのどれか一つだけが、本当の自分なのではありません。

全部が自分です。

大切なのは、どれか一人を否定することではなく、それぞれの声を聞いてあげることなのだと思います。

メグが頑張りすぎていないか。ジョーが暴れすぎていないか。ベスが置き去りになっていないか。エイミーが傷ついていないか。

そんなふうに自分の心を見つめると、少しだけ自分に優しくなれる気がします。

『若草物語』の四姉妹は、物語の中にいる少女たちでありながら、私の心の中にもいる四人の私なのかもしれません。

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